税金をどぶに捨ててまで国民を苦しめる政権!

国負担のGoToキャンセル料、届かぬ取引先も…観光庁のチェック体制に不備

 

2021年11/6(土) 

 

 

 5日に公表された会計検査院の2020年度決算検査報告では、新型コロナウイルス対策を巡って、国側のずさんな対応やチェック体制の不備なども指摘された。中断された観光支援策「Go To トラベル」では、国が負担したキャンセル料の支払い状況が把握されず、持続化給付金では不正受給が相次いだ。検査院は改善を求めている。

 

立場弱く

 

「キャンセル料が入ってこず、泣き寝入りするしかない」。ホテルや旅館に寝具などをレンタルする中部地方のリネン業者は、こう訴える。

 

昨年7月に始まったトラベル事業では、取引先のホテルや旅館の予約増加に合わせて、シーツやタオルなどを大量に用意した。コロナで落ち込んだ業績の回復を期待したが、感染拡大で事業が昨年11~12月に順次、中断されて貸出量が減り、大きな損失が出た。

 

 担当者は「ホテルや旅館に使ってもらう立場で、強く言えない」と肩を落とす。

 

 国は、事業の中断で生じたキャンセル料について、利用者に代わって補填(ほてん)することを決定。今年2~7月、旅行代金の35~50%を旅行会社や宿泊施設などに支出した。総額は1157億円に上る。この際、影響を受けたリネン業者や食材の卸売業者などにも公平に配分するよう求め、旅行会社などと誓約書を交わした。

 

 しかし、検査院の調べでは、観光庁側は実際に配分されたかどうかを確認していなかった。配分しない旅行会社などの事業登録を取り消すとしていたが、調査実施の検討もしなかった。

 

 日本リネンサプライ協会(東京)には、加盟社から「ホテル側からキャンセル料の配分がない」「契約打ち切りが怖くて、聞けない」と不満の声が寄せられている。協会の山田修会長は「配分が受けられることを知らないリネン関係者も多く、国の周知が足りていない」と訴える。

 

 観光庁の担当者は「キャンセル料の迅速な支払いを優先していた。調査を準備している」と説明する。

 

下請け連鎖

 

 中小企業の資金繰り対策「持続化給付金」で、不備を指摘されたのが中小企業庁だ。

 

 今年2月までの給付額約5・5兆円のうち、不正受給は約5億9000万円に上り、うち約2億2000万円が未返還だった。

 

 また、給付の受け付けや審査などの業務は、受注した団体から広告大手の電通に下請け発注され、その後下請けが繰り返され、委託先は延べ約720事業者に膨らんだ。総額668億円の96%が再委託された一方で、再委託の必要性を検討した記録は残されていなかった。検査院は、中小企業庁による管理に不備があったと指摘。担当者は「指摘を真摯(しんし)に受け止める。1月にルールを改めた」としている。

 

 

 

 

 

最大9次下請け、564社関与 持続化給付金「中抜き」批判の電通再委託問題 経産省が検査の最終結果公表

 

2021年8月13日 

 

 

 国の持続化給付金事業で再委託や外注が繰り返された問題で、不透明な業務や支出の無駄がないかを検査していた経済産業省は12日、最終結果を公表した。事業に関与した企業は564社(受注額100万円以上)に上り、下請けは最大9次まで及ぶことが明らかとなったが、経産省は「手続きや取引の適切性を確認した」と結論づけた。(皆川剛)

 

 

図

新聞赤旗さんから拝借 

写真)※サービスデザイン推進協議会の資料をもとに作成

 

 

◆国からサ協へ669億、95%の640億で電通へ再委託

 

 国と元請けの一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)との当初の契約額は769億円だったが、昨夏以来の申請件数の減少に伴い、実際の支払額は669億円で確定。うち約95%にあたる640億円が電通への再委託費に当たる。

 

 検査対象となったサ協が担当した給付(昨年5月から9月の申請分)は約336万件。給付額は計約4兆3700億円だった。

 

◆外注費の1割「一般管理費」58億円 一部は電通の利益に

 

 一方、再委託先の電通は約561億円を外注に回し、外注先の企業は560社近くに上った。国が事業を発注した昨年4月時点の経産省の規則では、外注費など費用総額の10%をかけた金額を一般管理費名目で支払うことになっていたため、電通一般管理費58億円を計上した。 ※何故電通に?国と元請けの一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)が契約先!電通一般管理費は必要ない!

 

 一般管理費のお金は事業者の家賃や光熱費などに充てられるが、残りは事業者の利益となる。電通は他の国の受託事業の事務局と同じビルに入居するなどして費用を圧縮したとされ、58億円の一部が利益に回る。本紙の取材に対して、電通の担当者は「一般管理費の内訳は開示していないが、全てが利益になるわけではない」と回答した。

 

 外注を重ねて利益が膨らむこの構造を巡っては、野党から「中抜き」との批判も上がり、経産省は外注費を一般管理費の計算に含めず、割合も最大8%に見直した。電通などには見直し前の規則が適用されるが、経産省は「不当な請求とは言えない」としている。

 

 ◇   ◇

 

◆不透明な多重下請け 「身内」に外注繰り返す

 

 一般社団法人サービスデザイン推進協議会が元請けとなった持続化給付金事業で、関与した企業は9次下請けまでで500社を超えた。これまで明らかになっていたのは受注額1億円以上の64社のみで、当初は「それ以上は把握しきれない」(経産省)と説明していた。不透明な多重下請けは今回の問題の焦点の1つだった。

 

 事業は電通などが設立に関与したサ協が受注した後、電通に再委託。電通は複数のグループ企業のほか、同様にサ協の設立に関与したパソナトランスコスモスなど「身内」に外注を繰り返していた。

 

◆関係者「電通が中心になって考案した利益率の良いビジネスモデル」

 

 電通関係者へのこれまでの取材によると、一般社団法人を元請けにすることで予算監視の目が逃れやすくなる上グループ企業に外注を繰り返せば1社ごとの利益は小さくともグループ全体では利益を最大化できる。電通は公式には否定しているが、関係者は「電通が中心になって考案した利益率の良いビジネスモデル」と証言していた。

 

 持続化給付金のように前例のない巨大事業を受注できる企業は限られ、今回は同種事業の受注実績のあるサ協が、経産省側に重宝がられた面がある。だが、発注する国にとっては外注が増えればそれだけ予算の無駄につながる懸念がある。

 

◆ルール見直しも、サ協のような受発注は現在も可能

 

 経産省は今回の検査に先立ち昨年12月、民間委託のルールを見直した。しかし理由が説明できれば、一部の省庁では禁止している金額ベースで50%を超える再委託や、グループ企業への外注を認めた。サ協のような受発注の仕方は現在も可能になっている。

(森本智之)