日本円がウクライナ侵攻で大暴落するルーブルよりも「安い」衝撃の事実! 専門家が解説
2022/03/02
ロシア各地の銀行やATMに市民が殺到し、長蛇の列をつくっている。主因はロシアの主要銀行を国際決済取引網「SWIFT」から締め出す欧米の経済制裁だ。通貨ルーブルの信用不安により預金を引き出そうと躍起になっているのだ。
実際ルーブルは2月28日の為替市場で約3割も暴落。1ドル=119ルーブルをつけ、史上最安値を更新した。この事態にロシア中央銀行は政策金利を9.5%から20%と2倍以上の大幅利上げに踏み切り、1日は1ドル=90ルーブル台まで持ち直した。
とはいえ、クレジット大手のマスターカードは同社の決済網からロシアの複数の銀行を排除。最大手のビザも追随する方針で、ますます銀行に預金しておくメリットは乏しい──日本のメディアはそう報じるが、大事な視点が欠けている。
強まる経済制裁で暴落したルーブルよりも、今の日本円の価値の方が低いということだ。
■今やニクソン・ショック直後と同水準
1日の為替レートは1ドル=115円近辺で推移。国際決済銀行が発表した今年1月時点の円の「実質実効為替レート」(2010年=100)は67.55で、1972年6月以来の円安水準となり、過去最高の95年4月(150.85)の半分以下まで沈んだ。
「先進国」と称しながら、その通貨価値は“取り付け騒ぎ”が発生中の国の通貨よりも安いとは、どういうわけだ。
「72年はニクソン・ショックで1ドル=360円の固定相場制が崩壊した直後。当時のレートは1ドル=300円程度で、国民の生活水準も50年前に逆戻りしているようなものです。通貨切り下げ政策は、国内需要の減退から供給過多に陥り、輸出に活路を見いだすなど、正当化できる局面は限られます。アベノミクスの異次元緩和を始めた頃はその状況にあったと言えますが、今年1月の貿易収支は2兆円超もの赤字です。いくら海外向けに大安売りしても、原油高などで原料の輸入コストがかさみ、モノは作れど貧しくなるばかり。もはや意図的に円安にし、日本の価値をおとしめる政策は許されません」
(経済評論家・斎藤満氏)さんの記事でした!
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