原油価格が急落 UAEの増産支持の表明で
2022年3/10(木)
急騰が続いていた原油価格が9日、国際市場で急落した。アラブ首長国連邦(UAE)が増産への支持を表明したことが影響した。
UAEは、影響力の大きい石油輸出国機構(OPEC)の加盟国。UAEのユセフ・アル・オタイバ駐米大使は、「私たちは増産を支持し、OPECに生産レベルの引き上げを検討するよう勧める」とツイートした。
この声明を受け、国際的な指標となる北海ブレント原油先物の価格は9日、一時17%下落。最終的には約12%安で取引を終えた。
原油をめぐっては、ロシアによるウクライナ侵攻で供給に混乱が生じるなどしたため、ここ何週間か価格が急上昇していた。
原油需要は、新型コロナウイルスのパンデミックで大幅に下がった状況から、リバウンドを見せていた。
価格高騰の影響は世界中の家計に及んでいた。
アメリカのジョー・バイデン大統領など各国の首脳は、家計の圧迫を緩和すると誓っていた。米当局は原油生産国側と、供給増に向けて交渉していた。
■ウクライナ侵攻の影響
産油国のロシアは、世界の原油供給の約7%を産出している。ウクライナ侵攻で各国の制裁を受け、原油の買い手を見つけるのが難しくなっている。
ロシア産の原油をめぐっては、アメリカとカナダが輸入禁止を発表。イギリスも年末に向けて輸入をゼロにするとしている。
一方、OPECは先週、増産を求める各国の要求をはねつけた。生産量は事前の計画に基づき、徐々に増やすとしていた。
こうした動きを受け、原油価格は、ロシアが侵攻を開始した2月24日と比べて30%以上急上昇。今週は一時、1バレル139ドル(約1万6000円)まで上がった。
国際エネルギー機関(IEA)は最近、6000万バレルの原油を戦略備蓄から放出することで合意。しかし、市場では価格に大きな影響を及ぼさなかった。
IEAのファティ・ビロル事務局長は9日、備蓄からさらに放出する可能性があるとした。
(英語記事 Oil prices plunge as UAE supports supply boost)
(c) BBC News