冬は積雪で避難が難しくなるため全員避難となる。

ご存じでしたか、十和田湖は恐らく火口です…県が噴火想定の対応策決定

2022/03/13

 

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 秋田県青森県などは、両県にまたがる十和田湖が火口と推定される十和田火山について、噴火を想定した初の対応策を決定した。火口の想定地域は全国的にも珍しく、住居を含むのが特徴だ。火山活動が高まった状況では、危険度を示すレベル指標を5段階ではなく3段階にして引き上げやすくしたほか、小規模噴火でも予兆がみられた時点で付近の住民を避難させる。

 

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十和田湖(2015年10月、読売機から

 

 十和田火山には24日以降、八甲田山岩木山と同様に噴火警戒レベルを運用する。ただし他の火山と違い、危険度が最も低いレベル1から、噴火が予想される段階で2番目に深刻なレベル4まで一気に引き上げることにする。

 

 想定される火口は、十和田湖内の二つの半島に挟まれた 中湖なかのうみ を中心とした半径3・4キロ圏内に設定されている。圏内には青森県十和田市宇樽部、休屋の両地区と小坂町休平地区の計3居住地域が含まれており、約200人が住む。火口の想定範囲をさらに4キロ外側(半径7・4キロ)まで広げると約350人。小規模噴火でも住民の生命に危険が及ぶ被害が出る可能性があるため、レベル2とレベル3については、レベル引き下げの際に限って用いる。

 

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 避難は、噴火規模を大、中、小に3分類した上で警戒レベルに応じた方法が検討されている。まず、小規模噴火を想定した対応策が2月28日にまとまった。小規模とはいえ、2014年に御嶽山(長野・岐阜県境)で発生した噴火規模に匹敵し、巨大な噴石が生じることが予想されている。

 

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 レベル1でも、火山性微動といった噴火予兆があった段階で、火口想定範囲の住民は避難対象とする。春から秋は高齢者に限るが、冬は積雪で避難が難しくなるため全員避難となる。さらに4キロ外側も予兆段階で高齢者に避難準備を求める。

 

 レベル4では、火口想定範囲内の全住民を避難させ、4キロ外側についても高齢者ら(冬は全員)を避難させる。レベル5は季節を問わず全員避難対象となる。秋田県などは、最寄りの国道を使って火口から離れる避難経路も示した。

 

 関係自治体でつくる防災協議会は今回の対応策を踏まえ、22年度に具体的な避難計画をまとめる方針。青森県危機管理局の坂本敏昭次長は「噴火の前兆があった時点で、早めの行動を促す運用を行う」と強調する。大、中規模噴火時の対応策についても今後、協議を進める予定という。

 

 ◆ 十和田火山 =全国に50ある「常時観測火山」の一つ。1000~3000年に1度の割合で噴火を繰り返しており、「将来必ず噴火する」と指摘される。直近で噴火が起きたのは平安時代の915年で、日本史上最大級の噴火とされる。関係自治体などでつくる防災協議会は、同規模の噴火が起きた場合、県民約34万人が避難対象になると分析している。2018年には噴火被害を予想したハザードマップが公開された。