ご存じでしたか、十和田湖は恐らく火口です…県が噴火想定の対応策決定
2022/03/13
秋田県や青森県などは、両県にまたがる十和田湖が火口と推定される十和田火山について、噴火を想定した初の対応策を決定した。火口の想定地域は全国的にも珍しく、住居を含むのが特徴だ。火山活動が高まった状況では、危険度を示すレベル指標を5段階ではなく3段階にして引き上げやすくしたほか、小規模噴火でも予兆がみられた時点で付近の住民を避難させる。
十和田火山には24日以降、八甲田山や岩木山と同様に噴火警戒レベルを運用する。ただし他の火山と違い、危険度が最も低いレベル1から、噴火が予想される段階で2番目に深刻なレベル4まで一気に引き上げることにする。
想定される火口は、十和田湖内の二つの半島に挟まれた
避難は、噴火規模を大、中、小に3分類した上で警戒レベルに応じた方法が検討されている。まず、小規模噴火を想定した対応策が2月28日にまとまった。小規模とはいえ、2014年に御嶽山(長野・岐阜県境)で発生した噴火規模に匹敵し、巨大な噴石が生じることが予想されている。
レベル1でも、火山性微動といった噴火予兆があった段階で、火口想定範囲の住民は避難対象とする。春から秋は高齢者に限るが、冬は積雪で避難が難しくなるため全員避難となる。さらに4キロ外側も予兆段階で高齢者に避難準備を求める。
レベル4では、火口想定範囲内の全住民を避難させ、4キロ外側についても高齢者ら(冬は全員)を避難させる。レベル5は季節を問わず全員避難対象となる。秋田県などは、最寄りの国道を使って火口から離れる避難経路も示した。
関係自治体でつくる防災協議会は今回の対応策を踏まえ、22年度に具体的な避難計画をまとめる方針。青森県危機管理局の坂本敏昭次長は「噴火の前兆があった時点で、早めの行動を促す運用を行う」と強調する。大、中規模噴火時の対応策についても今後、協議を進める予定という。
◆ 十和田火山 =全国に50ある「常時観測火山」の一つ。1000~3000年に1度の割合で噴火を繰り返しており、「将来必ず噴火する」と指摘される。直近で噴火が起きたのは平安時代の915年で、日本史上最大級の噴火とされる。関係自治体などでつくる防災協議会は、同規模の噴火が起きた場合、県民約34万人が避難対象になると分析している。2018年には噴火被害を予想したハザードマップが公開された。