国際社会で勝者になる条件は単純に「強者」か否か　ロシア、北朝鮮、中国…独裁国家は意外に強い　日本は「民主主義の砦」になる自覚持て

2022.3/16

www.zakzak.co.jp

民主主義国家がすべて平和志向とは断言できないが、独裁国家が戦争を起こす確率は非常に高い。ロシアのウクライナ侵攻を見て、多くの人が改めてそう実感したはずだ。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、海外メディアも含めて情報統制を徹底し、国民はフェイスブック、ツイッターへのアクセスもできなくなった。完全な言論抑圧であり、まごうことなき独裁国家の姿だ。

大手メディアでは、「ロシアは国際的に孤立し、経済制裁でいずれ内部から崩壊する」などと楽観論が流布されている。東西冷戦で、米国を中心とする民主主義国が勝利した歴史から「民主主義は独裁に勝つ」と安易に思い込んでいるようだ。

しかし、独裁国家は意外に強い。ロシアはクリミア侵攻の際も厳しい経済制裁に耐えたし、北朝鮮もいまだに生き長らえている。中国に至っては、世界第２位の経済大国として、日本をはるかに凌（しの）ぐ国力を手中にし、香港の民主主義をいとも簡単に制圧してしまった。

国際社会で勝者になる条件は、民主主義か否かではなく、

単純に「強者」か否かなのだ。憲法９条にがんじがらめにされた思考では、現実を直視できない。

中国の動向で気になるのは、沖縄県・尖閣諸島への異常な執着だ。中国政府は２０１２年、日本政府による尖閣諸島国有化を口実に、尖閣周辺海域への公船派遣を開始した。日本漁船への威嚇や領海侵入の常態化は、今年で丸１０年に及ぶ。

この間、中国は公船を統括する中国海警局を軍事組織に改編した。昨年には海警局船が外国船に武器を使用することを認める法改正を行った。

尖閣周辺海域では大荒れの日以外、海警局船が４隻体制で常駐しており、２１年の航行日数は３３２日に達した。尖閣侵奪に向け、一歩一歩間合いを詰めている。そこに交渉の余地はない。まさに「異質の国」である。

尖閣侵奪に国運をも懸ける意気込みを見せるのは、中国が日本という国にではなく、そのバックグラウンドにある「民主主義の価値観」に挑戦しているからではないか。民主主義に対する破壊活動の第一歩として、まず日本を標的に定めたとしか思えない。

スウェーデンの調査機関によると、１９年現在、非民主主義国の数は９２で、民主主義国の８７を上回った。民主主義が世界の潮流であるなどとはお世辞にも言えない。「中露は孤立する」と高をくくっているうち、孤立するのは日本かもしれないのだ。

民主主義が危機にある今、日本は自らが「民主主義の砦（とりで）」になるという自覚を持たなくてはならない。独裁国家に対しては、相手が誰であれ厳しく臨むという原則に立ち返るべきだ。

■仲新城誠（なかしんじょう・まこと）さんの記事でした！

　１９７３年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、９９年に地方紙「八重山日報社」に入社。２０１０年、同社編集長に就任。現在、同社編集主幹。同県のメディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に『「軍神」を忘れた沖縄』（閣文社）、『翁長知事と沖縄メディア　「反日・親中」タッグの暴走』（産経新聞出版）、『偏向の沖縄で「第三の新聞」を発行する』（同）など。