主要国の市場でここまで不正会計が放置されているのは日本くらいなものである。

1ドル=125円超え…日本人の生活を直撃する「円安」がここまできた「4つの理由」

2022年3/30(水)

 

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 2022年3月28日の東京外国為替市場において、一時的に1ドル=125円台を突破するなど、想定以上のペースで円安が進んでいる。全世界的なインフレで輸入物価が上昇しており、ウクライナ問題でさらに物価高に拍車かかる可能性が高まってきた。こうしたタイミングで円安になってしまうと、日本経済にはダブルパンチとなってしまう。今、進んでいる円安の原因について整理してみた。

 

円安をもたらす4大要因

 

 為替というのは、上がるか下がるかなので、単純に見えるかもしれないが実は奥が深い。マクロ経済との関係が密接であり、各国の物価や金利、経済成長率など多くの要因が複合的に絡まって為替レートが決まる。加えて、有事の際にリスク回避としてどう行動するのかといった地政学的な要因もあり、単純に経済合理性だけでは処理できない部分もある。

 

 為替市場に参加する投資家も様々で、貿易で外貨を必要とする実需に加え、短期的な利鞘かせぎを狙う投資家や、年単位での変化を見越した投資家まで、多くの思惑が交錯している。ただ、今回の円安は構造的なものである可能性が高く、それ故に長期化・恒常化が予想されるのだが、その要因は主に4つである。

 

 (1)日米金利差の拡大

 

 現時点で、ドルを買って、円を売っている投資家の多くは短期的な取引と考えられる。ドル買いのもっとも大きな要因となっているのは日米金利策の拡大である。米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、金融正常化を目的に2022年3月から利上げをスタートした。

 

 当初はあくまでも量的緩和策からの脱却が目的だったが、ほぼ同時並行で全世界的なインフレが発生し、金利の引き上げはインフレ抑制策としてのニュアンスも強くなっている。ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格がさらに上昇する可能性が高まっており、金利の引き上げペースが速まるる可能性も指摘される状況だ。

 

 一方の日本は、金融正常化どころか量的緩和策から脱却する道筋がまったく見えておらず、金利を上げたくても上げられない状況にある。今は指し値オペ(一定以上の金利になった場合、無制限で国債を買い取って金利を抑制する措置)で金利を低く誘導しているが、金利を上げてしまうと、大量の国債を抱える日銀は、実質的な損失が発生する。

 

 日銀は簿価で管理しているので、表面上、損失を計上する必要はないが、市場がそう解釈しないのは当然のことである(民間企業に対しては厳格な時価会計を要請しておきながら、中央銀行だけは例外というのは、基本的に通らないと思ってよい)。

 

 政府も1000兆円という巨額債務を抱えており、金利が上昇すると政府の利払い費が急増するため、金利上昇は望ましくない。民間に目を転じても、多くの国民が変動金利で住宅ローンを組んでいるので、金利上昇は返済額増加につながる。金利が急上昇した場合、無理なローンを組んでいる人の中には、支払いが困難になるケースも出てくるだろう。

 

【積み木くずし】息子がタガの外れた買い物で巨額の借金、家計はもう限界。どうしたらいいですか (´;ω;`) ? - 兵器ローンと Abe's Shopping List の更新中

 

 

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話を戻します!

 

 市場は日本が身動きが取れない状況であることをよく理解している。金利を意図的に低く誘導するということは、金融緩和を積極的に行うということであり、通貨価値の減価、つまり円安につながる。

 

 (2)実需買いの減少

 

 金利差によるドル買い需要があっても、それを相殺するドル売り需要があれば為替はもう少し安定する。ドル円市場における有力なドル売り要因としては、輸出産業の実需というものが存在していた。

 

 製品を海外に輸出している企業は、たいていの場合、販売代金をドルで受け取る。輸入代金の支払いもドル建てが多いので、海外からの仕入れに必要な分については、受け取ったドルをそのまま支払いに充当する。だが国内の仕入れ先や従業員の給与は円で支払う必要があり、輸出企業は常に受け取ったドルの一定割合を日本円に両替しなければならない。これはドルを売って円を買う取引になるので、円高要因になる。

 

※ここでも、阿〇な政府・政権が愚策!

トヨタなど輸出13社に消費税1兆円を還付

第3335号2018年11月5日付

 

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 ところが近年は、日本企業の競争力が低下し、輸出が低調になっている。加えて、コスト対策から製造拠点の海外シフトを進めたことで、輸出の比率が低下した。海外の現地法人が販売して得たドルの多くは日本国内には送金されず、現地法人保有するので、以前のようなドル売り需要は発生しない。

 

 また、輸入を専門に行う企業の場合、常にドルを買って円を売るという取引が必要となる。日本経済は輸出主導型から消費主導型へのシフトが進んでおり、多くの消費財を輸入で賄っている。実需の取引という点ではむしろドル買い需要が高まっている状況だ。

 

 (3)有事の円買いが消滅

 

 貿易実需での円買いに加えて、長く円高要因として作用してきたのが、ドルの代替手段としてのニーズである。何らかの理由で米ドルに信用不安が発生した際には、一時的にドルが売られ、代わりの通貨を購入するという動きが見られる。かつての日本円に対する信頼は高く、ドルが売られる時には、真っ先に日本円が買われていた。

 

 こうした動きが重なると、投機筋の中には、米国の景気が足踏みするとの思惑が発生しただけで、積極的に円を買うところも出てくる。市場では有事の円買いという流れが定着し、一定期間ごとに必ず円が買われるというのが日常的な光景となった。

 

 しかしながら、日本経済の地位低下に伴い、徐々に日本円は安全資産としてみなされなくなっている。米ドルに次ぐ通貨はユーロであり、日本は中国にも経済規模で抜かされており、人民元との順位が逆転する可能性も示唆される状況だ。

 

 今回のウクライナ侵攻で円がまったく見向きもされなかったのは、こうした環境の変化が大きく関係している。日本円の地位が本当に低下したのかはともかく、かつてのように、ドル不安=円買いという図式にはなっていないことだけは確かであり、これは確実に円安をもたらす。

 

 (4)日本の株式市場からの資金逃避

 

 かつて日本の株式市場は世界の主要市場のひとつと見なされており、各国から投資資金が集まっていた。優良な企業が多ければ、長期的な資産形成を目的にした資金が集まってくるので、基本的に資金の流入超過が続く。つまり継続的にドルを売って円を買う流れが続くということであり、円を買い支える要因となっていた。

 

 だが日本企業の業績低迷が著しく、海外投資家は日本株に見向きもしなくなっている。過去20年で諸外国の企業は業績を大幅に拡大させたが、日本企業の売上高は横ばいに近い状況が続いている。日本の上場企業(東証1部と2部)の1社あたりの時価総額ニューヨーク証券取引所の5分の1程度の水準しかなく、国内で大手企業といってもグローバルで見れば中堅企業に過ぎないところがほとんどである。

 

 加えて日本企業はガバナンスの不備が目立ち、透明性が極めて低い。主要国の市場でここまで不正会計が放置されているのは日本くらいなものである。グローバルに資金を運用する投資ファンドにとっては、日本企業の多くはもはや投資不適格であり、投資対象から外す動きがここ数年、顕著となっている。

 

※ここでも、政府・政権の愚策が表面化

 

生き残る気力のない企業には“店じまい”促す気概を 「毎月がPKO!」の異常さはいつまで続くのか

2022.3/25  真山仁さんの記事です!

www.sankeibiz.jp

 

 

 

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 当然のことながら、こうした市場は、短期的な利鞘を稼ぐ荒っぽい投資家ばかりとなり、短期資金は利益を確定するとすぐに本国に戻ってしまうので、円買い要因にはならない。

 

円安は長期化の可能性も

 

 上記のように円安が進みやすくなっている要因について列挙したが、いずれも短期的なものではなく、長期的かつ構造的なものであることが分かる。

 

 日米金利差の拡大は、量的緩和策が効果を発揮した米国と、ほとんど効果を発揮しなかった日本との違いに起因するものであり、経済構造そのものの違いである。また政府債務の水準も日本と米国とでは大きな差があり、金利上昇に対する経済の耐性がまったく異なっている。この違いを縮小するのは、日本経済の仕組みそのものを変革する必要があり、一朝一夕にできることではない。

 

 実需の円買い減少も、日本経済そのものと密接に関わっている。

日本の慢性的な低成長は、企業の競争力低下が根本的な原因であり、金融政策や財政政策が小規模だったからではない。日本社会には、ミクロな改革を軽視し、壮大なマクロ政策にばかりに注目が集まるという悪しき習慣があり、個別で地道な改革がおざなりにされている。

 

 企業のガバナンス改革や人材投資、IT化の推進や賃金格差、雇用制度、年金制度、あるいは貧困対策など、長年、指摘されている問題に目をつぶってきたことが景気低迷の原因であり、その結果としてマクロ経済政策がうまく機能していない。

 

 こうした状況では輸出競争力が復活する可能性は低く、当分の間、実需の円買いは発生しないと考えられる。これは日本の国力低下そのものであり、当然のことながら国力が低下した国の通貨は安全資産と見なされるわけがない。市場は一連の状況をすべて見透かしており、短期的な投資家も長期的な投資家も日本を敬遠している。

 

 市場には上下変動がつきものなので、一時的には円高に戻す局面もあるかもしれない。だが長期的には円安が進みやすくなっているという厳しい現実について、理解しておく必要があるだろう。

 

加谷 珪一さんの記事でした!

 

 

 

 

 

ウクライナ』『円安』物価上昇に“緊急対策”指示 “4本柱”の具体策は?

2022年3/29(火)

 

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諺=『泥棒を捕らえて縄を綯う』

【意味】泥棒を捕らえて縄を綯うとは、事が起きてから慌てて準備を始めることのたとえ。

現在の政府・政権では、縄を綯う材料も無い状態!