「ナポリタンにケチャップは一切使っていません。

横浜生まれのナポリタン 発祥の店と広めた店とは

2022.4/17

 

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終戦間もない時代に横浜で生まれ、いまも国内で広く愛され続けているスパゲティ料理の定番「ナポリタン」。メニューを開発した老舗「ホテルニューグランド」と、おなじみのケチャップ味で庶民の胃袋をつかみ、普及に貢献した「センターグリル」という横浜市内の2店を訪ね、ナポリタン誕生のルーツを探った。

 

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トマトのピュアな味

 

港まち・横浜の山下町で昭和初期に開業したホテルニューグランドナポリタン発祥の地として知られ、併設のレストラン「ザ・カフェ」ではいまも、開発した当初の味を守りながら提供を続けている。

 

同店のこのナポリタン、見た目の色や具材などは、よく知られるナポリタンと変わらないのだが、風味がちょっと違う。庶民の舌になじみが深い「ケチャップ味」ではないのだ。

 

同ホテルによると、味のベースになっているのは、生トマトやホールトマト、トマトペーストに香辛料などを加えて煮詰めた特製のソース。6代目総料理長の関口真司さん(56)はナポリタンにケチャップは一切使っていません。トマト主体で、ガーリックなどの風味が香るあっさりした味。トマトそのもののピュアな味が楽しめます」と紹介している。

 

進駐軍の米兵から着想

 

同ホテルでナポリタンが開発されたのは、昭和20年の終戦直後。開発者は、2代目総料理長の入江茂忠氏(故人)だ。進駐軍の米兵らが、パスタにケチャップをあえただけの簡素な食べ方をしていたことに着想を得て、ホテルで提供するのにふさわしいメニューとして考案したという。

 

入江氏がケチャップの代わりに使用したのが、同ホテルでもともと使われていたというトマトベースのソース。完成した新メニューを「ナポリタン」と名付け、提供を始めた。

 

こうして誕生したナポリタンだが、当時トマトは貴重な食材。手軽に作れるような料理ではなく、あくまでホテルでしか食べられない逸品だったようだ。

 

ただ、そこに普及の鍵があったとみられる。ナポリタンを「庶民の料理」に仕立てあげた人物がいるのだ。それが横浜・野毛の繁華街にある人気洋食店「センターグリル」の創業者、石橋豊吉氏(故人)だった。

 

ケチャップに回帰

 

石橋氏はナポリタンを米兵由来のケチャップを使う調理法に〝回帰〟させ、味付けなどを整えてメニューとして確立した。興味深いのは、そうした背景に、ナポリタン開発者の入江氏の協力があったことだ。

 

石橋氏はもともとホテルニューグランドの初代総料理長、サリー・ワイル氏が経営していた別のホテルに務めるシェフだったという。

 

「そこで(2代目の)入江氏とも交流があり、出店にあたって手軽で安価に提供できるケチャップを使った調理法の手ほどきを受けたようです」。石橋氏の子でセンターグリルの2代目社長を務めた現会長の石橋秀樹さん(78)がこう解説する。

 

こうして石橋氏によって完成されたケチャップ味のナポリタンはその後、だれもが取り扱いやすいメニューとして、軽食店・喫茶店などを中心に全国に広がっていくことになる。秀樹さんは「テレビなどの影響もあり、ここ10年は特に注目が集まっていると感じます」と話す。

 

同店のナポリタンは「ケチャップがからんだときに風味が一番増す」(秀樹さん)という2・2ミリの極太麺を使用。ゆでた後に1日寝かせることでモチモチ感を出している。ケチャップの酸味と炒めたタマネギなどの甘さがからみあう絶品だ。最近ではコンビニエンスストアからコラボメニューが期間限定で販売された。センターグリルはそんな〝元祖〟ナポリタンを求めて訪れる客で現在もにぎわっている。

 

互いに敬意、いまも交流

 

ホテルニューグランドとセンターグリルは、ホテルとまちの洋食店という、一見対極にありそうな店舗だが、2店ではいまもシェフ同士の交流があるなど、良好な関係が続いているという。

 

ホテルニューグランド総料理長の関口さんは、ワイル氏の下で働いた石橋氏を「いわば兄弟子のような存在」と親しみを込めて紹介する。そしてセンターグリルについて「そんなシェフが作った店であり、当ホテル発祥のナポリタンというメニューを非常に大切に扱ってくれている」と敬意を示している。

 

一方のセンターグリル会長の秀樹さんも「まちの小さな店をかわいがってくれてありがたい」と感謝し、「ナポリタンは、これからも作り方や材料、味を変えることなく、ずっと昔の姿のままでやっていきたい」と意気込んでいる。

 

2店のシェフたちのつながりによって世に広まることになったナポリタン。横浜で、ナポリタンの〝2つの味〟を食べ比べしてみるのも面白そうだ。(外崎晃彦)さんの記事でした!

 

 

 

 

 

 

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