「この核の傘が機能するのか」と尋ねた人はいない。無責任な話である。

米国が保証する「核の傘」のリアルを直視せよ! いかなる首相もその機能を尋ねない無責任さ はたして自衛隊が守る離島のために報復するのか

2022.5/25

 

www.zakzak.co.jp

 

核抑止力とは、学者が弄(もてあそ)ぶ抽象的概念ではない。その正体は、数百万の命を一瞬で焼き殺す熱線が生み出す恐怖である。ネブラスカ州の州都オマハには、米軍の総核兵力を隷下に収める戦略軍司令部がある。高度30万キロの赤外線探知衛星、高度数百キロの光学衛星、レーダー衛星を駆使して、敵の核攻撃が始まらないかを24時間、厳しい緊張の下で監視している。

 

万が一にも、敵の核兵器が米国に向けて発射されれば、戦略軍司令官はたたき起こされて、直ちに統合参謀本部議長、国防長官、大統領に直接電話し、反撃の許可をもらわなければならない。最後の決断はコンピューターには任せられない。人間が判断しなくてはならない。

 

私が訪問したときは、まだ古い基地の建物だったが、司令官の机の上にポツンと緊急連絡用の電話が置いてあった。「この電話を使うことがないように、毎日祈っているよ」と、司令官は静かに笑った。そして、付け加えた。「この電話が終わったら、核シェルターに飛び込むのさ」

 

米国は、日本の核不拡散条約(NPT)加入を後押しする際、代償として日本に「核の傘」を保証した。核攻撃されれば、核で反撃すると保証したのである。

自民党青嵐会石原慎太郎議員などが激しく反発したが、政府は押し切った。

 

その後、いかなる首相も、米国大統領に対して、「この核の傘が機能するのか」と尋ねた人はいない。無責任な話である。

 

東京は中国に近い。東京が核攻撃されれば、米戦略軍司令官に第一報が届くとき、東京はすでにない。首都が壊滅した日本に同盟国としての価値はない。中国の戦略核はワシントンを狙っている。そこで反撃の許可を求める米戦略軍司令官に米国大統領は「ちょっと考えさせてくれ」というのではないか。そうして米中停戦協議が始まり、アジアに平和が回復されれば、東京の消えたアジアの平和が実現する。

 

米軍の友人は「そんなことはあり得ない。何人の米国人、特に米軍人が日本にいると思っているのだ。米軍人は、同胞、特に同僚を殺した敵を絶対に許さないから安心しろ」という。

武士の言葉である。信じるに足る。

 

しかし、自衛隊が守る離島の基地が、中国の小型核で攻撃されたり、核で恫喝(どうかつ)されたらどうだろうか。米国は、必ず核で報復するとは言わないだろう。「抑止の方法は色々ある。反撃の方法も色々ある」と言うだろう。

 

ならば、どうするのが一番安全なのか。日本は深い太平の眠りから覚めねばならない。

 

■兼原信克(かねはら・のぶかつ)さんの記事でした!

1959年、山口県生まれ。81年に東大法学部を卒業し、外務省入省。北米局日米安全保障条約課長、総合外交政策局総務課長、国際法局長などを歴任。第2次安倍晋三政権で、内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務める。19年退官。現在、同志社大学特別客員教授。15年、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章受勲。著書・共著に『戦略外交原論』(日本経済新聞出版)、『安全保障戦略』(同)、『歴史の教訓―「失敗の本質」と国家戦略』(新潮新書)、『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』(同)など。

 

 

 

 

 

 

まあ、日本の政府・政権は、政治を放棄!=DSの言いなり?!

強欲・無知・無能・無責任な連中が国の最高権力者集団!

専門外の人事を配置(各省庁の大臣)!