ここへきて「頼みのアメリカ経済」に急ブレーキ…これから日本を襲う「本当の経済危機」
2022年7/11(月)
「頼みのアメリカ経済」が減速
世界的に天然ガスなどの物価が高騰している。
それがわが国をはじめ世界経済を直撃している。
これまで世界経済を支えてきた米国の景気減速懸念も急速に高まり始めた。
特に、6月の米ISM製造業景況感指数において新規の受注指数が景気強弱の境目である50を下回ったことは大きい。
米国ではIT先端分野の一角でレイオフも実施されている。
現在の世界経済では、米国以外の国と地域の経済環境は悪い。 米国の景気減速が鮮明になれば、世界経済全体が急速に冷え込む。 また、ウクライナ危機などをきっかけに世界のエネルギー資源や穀物などの需給が急速に引き締まった。
脱グローバル化によるコストプッシュ圧力の高まりは強烈だ。
各国で企業業績は急速に悪化する恐れが高まっている。
世界経済の減速の足音が大きくなっている。
内需が弱く、資源がないわが国経済は、より強い逆風に直面する。
特に、家計にはより大きな打撃があるはずだ。
経済全体で賃金は伸び悩む。
生活の苦しさは一段と高まる。
海外ではモノやサービスの価格高騰とインフレによる実質ベースでの賃金減少に不満を募らせる人が急速に増えるだろう。
減速懸念高まる世界経済
7月に入り、世界全体で一段と景況感が悪化した。
特に、コロナ禍やウクライナ危機が発生する中で世界経済全体の安定を支えてきた米国経済の息切れ感が強まっていることは大きい。
その要因として、ウクライナ危機の発生などによって原油価格が上昇したことがある。
6月に入り、米国では調査開始以来ではじめてガソリン価格が1バレルあたり5ドルを超えた。
米国経済を支える個人消費が鈍化しはじめている。
原油価格の上昇は、電力や穀物などの生産、物流など、経済活動全体を制約する。
基礎資材の価格は上昇し、企業の事業運営コストが増える。
他方で、FRBはインフレ退治を急がなければならない。
短期ゾーンを中心に金利は上昇するだろう。
コストプッシュ圧力が高まり、企業の設備投資意欲は減退する。 徐々に、雇用の改善ペースも鈍化するだろう。
6月のISM製造業景況感指数が想定外に悪化したのはその兆しだ。 総合指数は50を上回っているが、景気減速懸念は高まっている。 米国に次ぐ世界第2位の経済大国である中国は、高度成長期から、安定成長期へ、曲がり角を曲がった。
特に、雇用環境は建国以来で最悪の状況にあるとみられる。
それに加えて、不動産バブル崩壊が深刻化している。
足許では、ニンニクやスモモ、小麦などを頭金の代わりに受け取り、実質的な購入者の負担を軽減しなければマンションなどを販売できない不動産業者が増えている。
米国の緩やかな景気回復に支えられ、また、中国の自動車需要などを取り込んできたわが国やユーロ圏経済はより強い逆風に直面している。
ユーロ圏ではウクライナ危機をきっかけにして天然ガスなどの需給が急激にタイト化した。
天然ガス価格は高騰している。
その結果、ドイツではエネルギー大手のユニパーに公的支援が検討されている。
言い換えれば、国家が市場に介入してエネルギー資源などの価格上昇を抑えなければならないほど、経済が混乱している。
懸念高まるわが国家計の打撃
わが国は天然ガスをはじめとするエネルギー資源、小麦などの食料を輸入に頼っている。
資源価格高騰に円安が重なることによって、わが国の交易条件悪化は鮮明だ。
今後、わが国経済はより厳しい状況を迎えるだろう。
その一つとして、エネルギー資源調達コストが増える。
6月30日にはプーチン大統領が天然ガス生産事業の“サハリン2”に関して、外国企業の資産を新設する企業に移管する大統領令に署名した。
中国など世界各国がエネルギー資源や食料の備蓄を急ぐ。
価格上昇が落ち着いたとしても、世界全体で資源などの需給は逼迫し、価格は高止まりするだろう。
世界的に見てわが国企業は、かなり強いコストプッシュ圧力に直面する。
企業は価格転嫁を急がなければならない。
水不足や電力不足を背景に人々の節約心理も強まる。
内需は一段と速いペースで減少せざるを得ない。
その状況下で米国経済の減速が鮮明となれば、わが国経済が安定を維持することは難しくなる。
金利上昇による米国の住宅市場の冷え込みや中国経済の減速によって本邦企業が輸出する塩化ビニール樹脂価格は下落しはじめた。
世界的な半導体不足も想定外に長期化する恐れがある。
その他の部品不足も重なり、国内の自動車生産は停滞している。 企業業績の悪化懸念は急速に高まりやすい。
中国のゼロコロナ政策やウクライナ危機、物価高騰を背景とするストの世界的増加によってグローバルに供給制約は長引きそうだ。
コストプッシュ圧力の高まりに対応して生き残りを目指すために、雇用削減に着手する企業は増えるだろう。
わが国で賃金の増加を期待することはこれまで以上に難しくなる。 生活水準の引き下げを迫られる家計が急増する恐れが高まっている。
真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)さんの記事でした!
まあ、危機管理の能力ゼロの政府・政権!
後手後手どころか、選挙の捏造にかまけて
経済に対しては思考回路がゼロ!の連中が国の最高権力者集団!