岸壁に二つの水槽、トリチウム濃度を測定

福島原発「処理水」の海洋放出、迫るタイムリミット…廃炉の現場ルポ

 

2023年2月16日(木)

 

福島原発「処理水」の海洋放出、迫るタイムリミット…廃炉の現場ルポ(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

 

 東京電力福島第一原子力発電所は、2011年3月11日の東日本大震災による未曽有の事故発生からまもなく12年となる。喫緊の課題は、保管容量の限界に近づきつつある処理水の海洋放出だ。政府は2023年1月13日の関係閣僚会議で今年春から夏頃に放出を始めるとの見通しを示した。ただ、風評被害を懸念する地元漁業関係者や太平洋の島嶼(とうしょ)国は反対している。30~40年を見込む廃炉作業の現場を訪ねた。

編集委員 森太)

 

沖合約1キロに放出口、6月めどに完成

 

 訪れたのは、1月26日。約10年ぶりの訪問だ。防護服と全面フェースシールドで息苦しかった前回と比べ、ヘルメットと使い捨てマスクでほとんどのエリアを移動できることに驚いた。あちこちで協力会社の作業員らが働いている。駐車場には、事故後、構内移動用に使われていた車が止まったままだ。10年以上が経過して使われなくなったが、放射能を浴びていて普通には捨てられないため役目を終えても敷地内にとどまっているのだという。

 

 

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「あそこです」。東京電力ホールディングスの担当者が事故を免れた5、6号機前の岸壁から沖合を指さした。やぐらの先端が4本、晴れ渡った海上に突き出ていた。処理水は、1キロ先のやぐらの直下、約12メートルの海底に設けられた放水口から海洋に放出される。

 

 放水口ケーソン(放水口の構造物)の据え付け工事はすでに完了している。現在は、掘削した放水口周囲の海底をコンクリートモルタルで埋め戻す作業をしており、6月中の完成を目指している。「波や風など海象条件が厳しく、作業のできる日は限られています」と担当者は説明した。

 

放水口まで約1キロの長さの海底トンネルは、シールドマシン(掘削機)が約830メートル地点まで掘り進んだところで停止しており、放水口との接続を待っている。

 

岸壁に二つの水槽、トリチウム濃度を測定

 

 工事は、陸側の岸壁付近でも進んでいた。ここにはトンネルとつながる水槽がつくられていた。横幅のある上流水槽と、深さ約16メートルある隣の下流水槽の二つがあり、トンネルの入り口は下流水槽の下部にある。

 

 

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 コンクリートの壁で内部が仕切られた上流水槽は、ほぼ完成しているようで、その全容を現していた。海水で希釈された処理水は、上流水槽に入ってきて水路のように流れ、下流水槽へと越水していく。放出が始まれば、東電は放水前の最終地点ともいえるこの場所で、当面、処理水のトリチウム濃度が目標の数値未満に海水と混合して希釈されていることを直接確認するという。

 

漁業への影響懸念、太平洋の17か国・地域が延期を求める

 

 海洋放出には、オーストラリアやニュージーランドなど17の国・地域でつくる太平洋諸島フォーラム(PIF)が延期を求めている。原爆核実験の影響などが今も残る中、海洋放出は漁業への悪影響が大きいという意見だ。中国や韓国も懸念を示している。日本の地元漁協なども反対している政府は、漁業支援や風評対策のために設けた計800億円の二つの基金を使って、理解を求めていく方針だ。

 

「処理水」はどんな処理か、世界の原発からも放出

 

 処理水とは、トリチウム三重水素)以外の大部分の放射性物質を取り除いた水のことを言う。炉心溶融メルトダウン)事故で溶け落ちて固まった核燃料を冷却した後の汚染水は、多核種除去設備(ALPS=アルプス)などを使って、セシウムストロンチウムなど62核種が浄化処理される。

 

 だが、トリチウムはALPSで除去できないため、放出前に大量の海水で薄め、1リットルあたり1500ベクレル以下の濃度にする。

 

 原発の運転で生成されるトリチウムは、世界中の運転中の原発から放出されており、事故を起こした原発だけから出てくるものではない日本のトリチウム排水基準は、1リットルあたり6万ベクレル、世界保健機関(WHO)の飲料水規準ガイドラインは1万ベクレル。東電の1500ベクレルは、国の規準の40分の1となる。

 

30基の巨大な白いタンク群、濃度を均一に

 

 海抜33・5メートルの高台に移動すると、K4と呼ばれる巨大な白いタンク群があった。容量1000トンのタンクが35基。このうち30基の3万トンが処理水を放出するために使われる。処理水は、ここから移送管を通って海に向かって流れ、その途中で海水と希釈される。移送管には、地震津波、異常発生時に流れを止める遮断弁が2か所あり、緊急時には放出をストップする。

 

 「30基のタンクは、10基を1グループとして3グループあります」と、担当者が説明した。「それぞれに受け入れ、測定・確認、放出の役割があり、これをローテーションします。タンクの中で処理水を攪拌(かくはん)し、均一にしてから放射性物質濃度を測定し、国の規制基準を満たしていれば放出します」

 

 処理水の測定は、東電と外部の検査機関で行われている。東電は、こうした数値をすべて公表し、安全性への理解を求めていく方針だ。

 

96%が埋まった保管タンク、処理水の発生量は当初の4分の1に

 

 大型休憩所7階の窓から敷地内を見渡すと、南側一帯にはびっしりとタンクが並んでいた。処理水を保管するタンクだ。約1000基あり、現在約132万立方メートルが保管されている。タンク群の全容量は、137万立方メートルなので、96%が埋まっていることになる。1日140立方メートルの処理水が発生する計算で、今年夏から秋頃に満杯になるという。

 

 

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 そもそもなぜ処理水は発生するのか。原子炉内には、燃料デブリという溶け落ちて固まった核燃料があり、水で循環冷却している。燃料デブリに触れた水は、汚染水となる。循環するだけなら増減はなく、問題ないが、原子炉建屋には雨水や地下水が入ってくるため、余剰の水が発生する。この余剰分の水をALPSなどで浄化したものが処理水となる。

 

 処理水は当初、1日あたり540立方メートルくらい発生し、タンク1基が2日で満杯になっていた。その後、地面を舗装するフェーシングによって雨水の地中への染み込みを抑えたり、建屋を囲むように氷の壁をつくって流れ込む地下水を減らしたりすることで、2021年度は1日あたり130立方メートルにまで減った。昨年は雨の多かった6月と10月を除いて同100立方メートルを下回ったという。

 

放出量は数十年単位でゆっくりと

 

 一方で、処理水の海洋放出は、1日で発生する量よりも多くなければ、タンクの水は一向に減らないことになる。では、どれくらいの放出量が計画されているのか。海水をくみ上げるポンプの性能から計算すると、1日500立方メートルを放出できるという。だが、担当者は「それはないですね」と否定した。「放出前の測定にも時間がかかりますし、多方面から『ゆっくり時間をかけて影響や変化がなるべくないような形で出した方がいい』というご意見をいただいた」。今後数十年の廃炉期間を使って徐々に減らす計画だ。

 

 安全性の確保と公表、海洋放出への国内外の理解。廃炉作業は大きな難題を抱えながら、今年、一つの山場を迎えようとしている。

 

 

 

 

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