(140億分の1なので)太陽から土星まで歩いて100メートルあるんですけど、そういうスケールで“太陽系を歩いてみよう!”

意外と知らない“ほうき星”と“流れ星”の違い…国立天文台 副台長がズバリ解説

2022年2/13(日) 

 

news.yahoo.co.jp

 

ホラン千秋がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「apollostation Drive Discovery PRESS。番組では、“ラジオの中の編集部”舞台にホランが編集長、リスナーが番組専属特派員となり、全国の食べ物やさまざまな場所にスポットを当て、日本の魅力を再発見していきます。

 

2月13日(日)の放送では、国立天文台 副台長の渡部潤一(わたなべ・じゅんいち)さんをゲストに迎え、日本各地で見られる星空の魅力について語っていただきました。

 

◆ほうき星と流れ星の違い

 

渡部さんが副台長を務める国立天文台は、日本で天文学を推進していく研究所として1988年に設立され、本部である三鷹キャンパスは常時公開されているため、見学することができます。

 

なかでも、渡部さんが「面白い」と太鼓判を押すのは「太陽系ウォーク」。これは太陽系の大きさを140億分の1に縮めて表現したもので、「(140億分の1なので)太陽から土星まで歩いて100メートルあるんですけど、そういうスケールで“太陽系を歩いてみよう!”ということで、散策コースもつくってあります。コースを歩いていただくだけで、いろいろと楽しめると思います」と説明します。

 

また、天文学者として、ほうき星(彗星)や小惑星、流れ星(流星)など、太陽系のなかの小さな天体を主に研究している渡部さん。

 

ほうき星と流れ星は同じものだと思われがちですが、まったく異なるそうで、ほうき星は「太陽のまわりをグルグル回っている天体で、大部分が氷でできており、ときどき太陽に近づくと、その熱を受けて溶けだし、それが太陽の風に吹き流されて太陽と反対側に尾っぽを引く、というもの」と言います。

 

一方、流れ星は「地球の大気圏で起こっている現象で、(物体は)砂粒みたいに小さいです。地球に砂粒が飛び込んできて、ピストルの弾よりも速いスピードで飛んでいき、大気圏のなかで大気との摩擦で高温になって溶けてなくなるときに光るのが流れ星です。だから、1~2秒で光って消えてしまう」と語ります。

 

双方の違いを述べたうえで、「ただ、まったく無関係ではない」と渡部さん。例えば、ペルセウス座流星群などの“流星群”って、実は母親がほうき星のことが多いんです。ほうき星は太陽に近づいて溶けるんですけど、冷蔵庫で作るような純粋な氷じゃなくて、砂粒や岩などの余計なものが一緒に凍っているので、溶けたときに出てきた砂粒が、最終的に太陽のまわりをグルグル回っているあいだに、地球にたまたまぶつかると流れ星になる。だから、ほうき星が母親で、流れ星が子どもということ」と解説します。

 

ちなみに、なぜ流星群の前に星座の名前がつくのかというと、渡部さんによれば、「流れ星がたくさん降ってくるときに、天空上の1点から放射状に見えるように流れるんです。例えば、線路ってどこまでも平行線だけど、ホームに立ってみると、遠近法によって遠くで交わっているように見えますよね?

 

流れ星も母親が同じ流星群であれば、地球に平行に全部やってくるので、自分の右、左、上、下にきたやつでは、それぞれ見え方が全然違いますけど、それを逆に伸ばしていくと、空のある1点に集まっちゃうんです。その集まる星座が“流星群”という名前になっています。だからペルセウス座流星群は、ペルセウス座から飛び出してきたように見える」と説明。

 

これにホランは、「関係はないけれど、たまたま飛び出してくるところの後ろにある星座がそれだから、っていうことになるんですね! たまたま、後ろにどんな星座がくるかで流星群の名前が変わっていくと。それは知らなかった~!」と驚きの声を上げます。

 

◆直近で楽しめる“天文現象”は?

 

2022年に入り、1月に三大流星群の1つ、しぶんぎ座流星群が見ごろを迎えて話題になったばかり。望遠鏡なども必要なく、誰でも手軽に見られる次の天文現象は、「3月から5月にかけてなんですけど、明け方の東の空に肉眼で見ても明るく輝く惑星が集合する」と渡部さん。

 

なかでも3月28日(月)の明け方には、土星、金星、火星と月が見えて、4月26日(火)はさらに木星が加わり、木星土星、金星、火星と月が見える、と言います。

 

「月は1日ごとに変わっていきますが、惑星はそんなに急には動きませんので、ゴールデンウィークの連休中も、木星土星、金星、火星は見えています。4つの惑星が東の空、暁のほんのりとオレンジ色になった空に輝いている姿が見えると思います」とおすすめします。

 

また、都会の空ではあまり星が見られないものの、これらの日には「星座の形がわかって結べるぐらいに空のきれいなところでも、まったく見えない都会の都心でも惑星の集合が楽しめる」とも。それを聞いたホランは、「4月26日(火)の明け方は、東の空を要チェックですね!」と心待ちにします。

 

ちなみに、渡部さんによると天文現象を楽しむのにベストな場所は「なるべく人口密集地から離れて、街灯や人工の光がないところに行くのが基本」と断言します。例えば、天の川を肉眼で見たいのであれば、「(千葉の)外房や伊豆あたりに行けば、夏の天の川が雲のように見えますよ」と話していました。

 

TOKYO FMapollostation Drive Discovery PRESS」2月13日(日)放送より)