テニスコートと同サイズ、折り紙のように畳んで打ち上げ
総費用1兆1000億円 ケタ外れの最新鋭宇宙望遠鏡、25年越しの打ち上げ迫る
2021.12/15 鈴木喜生さんの記事です!
12月22日(水曜)、ついに宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」が打ち上げられる。宇宙開発史上もっとも大型で、もっとも複雑な構造を持つこの宇宙望遠鏡は、宇宙で最初に生まれた星「ファースト・スター」を観測するのが使命だ。今回は、あらゆる意味でケタ外れのこの宇宙機の概要を、具体的な数字とともにご紹介したい。
テニスコートと同サイズ、折り紙のように畳んで打ち上げ
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope、以下JWST)は、過去最大の宇宙望遠鏡である。その形状は特殊で、魔法の絨毯のようなサン・シールド(日よけ)の上に、望遠鏡部分が搭載されている。
サン・シールドの大きさは全長22m×全幅12m。テニスコートとほぼ同サイズだ。宇宙機としては巨大すぎるため、そのままの状態ではロケット最頂部に格納することができない。そのため機体各部はコンパクトに折りたたまれた状態でフェアリングに収納され、打ち上げ後、宇宙空間で約2週間かけて展開される。
CG動画を見ていただければ、打ち上げ後の工程がご理解いただけるだろう。
【宇宙空間で展開するジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡】
あちゃ!コメント欄も全て英語!?
あ!時間的?打ち上げから、開き・完成までの距離+移動しながら開くが
下部に出ているので、解り易い!(吾輩の感想)
質量はハッブルのわずか56%
これだけ巨大な機体でありながら、JWSTは6.2トンと超軽量である。その質量はハッブル(11.1トン)の56%しかない。開発を主導したのはNASA(米航空宇宙局)だが、機体の主要部分はノースロップ・グラマン社が製造、アリゾナ大学が観測機器などを提供している。
この最新鋭機を宇宙へ送り届けるのは、欧州の大型ロケット「アリアン5」。つまりこのプロジェクトにはESA(欧州宇宙機関)も参画している。打ち上げ時間は12月22日(水曜)の21時20分(日本時間)、南米大陸にあるギアナ宇宙センターでローンチされる。その様子は下記のサイトなどでリアル配信される予定だ。
前例のない1兆1000億円という巨額予算
JWSTの機体は軽い、しかし、その予算はかつてなく重い。
この計画がスタートした1996年当初の予算は5億ドル(544億円、同年平均レートで算出、以下同)で、打ち上げは2007年が予定されていた。
しかし、機体開発が遅延し、コストが大幅に超過したため、2005年に計画が大きく見直された。その結果、JWSTの開発から運用終了までのライフサイクルコスト(LCC:生涯費用)は45億ドル(4960億円)と再見積もりされている。
その後もテスト時におけるサン・シールドの断裂や、新型コロナによって計画はさらに遅れ、結果、打ち上げ時期は2021年12月まで後退。2022年度のNASAの年間予算(NASA FY2022 Budget Estimates)を見ると、その生涯費用はなんと97億ドル(1兆971億円)にまで膨れ上がった。
ただし、この1兆円を超えた予算には、5年間の運用費用しか含まれていない。JWSTの予定ミッション期間は10年にもかかわらず、だ。
また、この莫大な費用をサポートしているのが欧州とカナダである。ESAは主にアリアン5による打ち上げフェーズを担うことで7億ユーロ(約900億円)を拠出。また、CSA(カナダ宇宙庁)も2億カナダドル(約180億円)を供与している。
軌道上に打ち上げる宇宙望遠鏡に限らず、単体の宇宙機にこれほど巨額な予算が投じられたことはかつてない。
宇宙に生まれた「最初の星」を観測
これだけ巨額な予算を掛けて、人類はなにを見ようとしているのか? にわかには信じられない話だが、宇宙空間に最初に生まれた星「ファースト・スター」が、その観測ターゲットである。
ファースト・スターとは、ビッグバンの発生後、最初に宇宙空間に光を放った星や銀河のこと。たとえば私たちが1億光年離れた星を観測したとすると、その光は1億年前に発せられたものであり、1億年の間ずっと宇宙を飛び続け、やっと地球に届いたときに我々が見たことになる。言い換えれば我々は、その星の1億年前の、過去の姿を観たわけだ。
では我たちは、どこまで遠く、どれだけ古い光を見ることができるだろう?
これまでの研究によってビッグバンは138億年前に発生したことが分かっている。ただし、ビッグバン直後の宇宙はとても熱く、電子と原子核がバラバラの状態で飛び回っていたため光が直進できない。その宇宙の温度が摂氏3,000度まで冷えたとき、やっと電子と原子核が結合して分子となり、光が直進できる環境が生まれた。これを「宇宙の晴れ上がり」といい、ビッグバンから約38万年後のことだ。しかし、このときもまだ宇宙に星はなく、暗黒な空間でしかなかった。
やがて分子は宇宙のチリやガスとなって集積しはじめる。そしてビッグバンから1億年から2億5000万年が経過したころ、やっと「ファースト・スター」が誕生する。その星が放った光は約136億年飛び続け、現在の地球にやっと届いている。
つまりJWSTは、地球から136億光年離れた場所で、136億年前に発せられた、宇宙最古の光を捕捉するためのタイムマシーンでもあるのだ。
550km先のサッカーボールを識別
ファースト・スターを捕捉するために開発されたJWSTの観測器は、史上最高のスペックを持っている。
反射鏡主鏡の口径は6.5mであり、それはハッブルの2.7倍、面積比では約6倍もある。つまりそれだけ集光能力が高いことを意味している。その解像度はすさまじく、40km先にある1セント硬貨(直径19.05mm)、または550km先のサッカーボールを識別することができるほどだ。
ハッブルは地球を周回する軌道上にあり、その高度は540km。一方、JWSTは地球周回軌道ではなく、ラグランジュ点(L2)という特殊な軌道へ投入される。地球から太陽の反対側へ150万km離れた空間を、地球に寄り添うように伴走しながら太陽の周りを公転するのだ。
こうした軌道へ投入するには、より大きなロケット・パワーが必要になるが、ではなぜこの軌道が選択されたかというと、JWSTが赤外線望遠鏡だからだ。
赤外線で天体を観測する場合、赤外線を発生する太陽や地球の熱が弊害となる。そのためJWSTは、太陽や地球から遠く離れた領域を航行することでその影響を最低限に抑え、さらに5層構造のサン・シールドによって太陽光から身を守る。また、機体自体が発する熱も除去するため、搭載されたクーラーで望遠鏡を絶対零度近くまで冷却し続けるのだ。
こうして生み出された暗くて静かな宇宙空間を漂いながらJWSTは、136億年前に発せられた微かな光を、10年間にわたってじっと探し続けるのである。
機体スペック、観測能力、そして予算。すべてに関して過去最高の数字を示すこの宇宙望遠鏡は、人類史上もっとも重要な観測成果をきっともたらすに違いない。
【宇宙開発のボラティリティ】は宇宙プロジェクトのニュース、次期スケジュール、歴史のほか、宇宙の基礎知識を解説するコラムです。50年代にはじまる米ソ宇宙開発競争から近年の成果まで、激動の宇宙プロジェクトのポイントをご紹介します。
宇宙開発のボラティリティ
気に成る方は、読んで下さい!
同日(2021年12月15日)に、凄い記事が・・・
データ書き換え 『すべての数字を消す』『全ての調査票の受注高を足し上げる』 建設工事受注動態統計 2013 国土交通省 アベノミクス 安倍晋三 日本 20211215
8年間の『捏造・改竄』
記事には無いが、国家予算の行方にも関連しているぞ!
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