公的資金を用いて日本企業の株価維持を支えた政策
生き残る気力のない企業には“店じまい”促す気概を 「毎月がPKO!」の異常さはいつまで続くのか
2022.3/25 真山仁さんの記事です!
PKOと言われれば、多くの人は国連平和維持活動(Peace Keeping Operations)を思い浮かべるだろう。だが、かつてバブル経済が崩壊して金融危機が叫ばれていた頃には、別のPKOが存在した。Price Keeping Operation、公的資金を用いて日本企業の株価維持を支えた政策のことだ。
株価維持のために買い支える国家
各企業の評価は、年度末決算の多寡、つまり黒字か赤字かで決まる。それを左右するのは、多くの企業の決算期である年度末(3月末)の株価だ。株価が上がれば時価総額だけでなく、保有している資産価値も上がり、利益を底上げできる。そのため、政府が市場に介入して主要株を買い支えていたのだ。
当時のPKOの最大の目的は、多くの株を保有していた生保や損保、さらには金融機関を守るためだ。山一證券、北海道拓殖銀行、千代田生命などに続く、ドミノ倒しのような経営破綻の連鎖を懸念した政府の苦肉の策だった。
『ハゲタカ』を発表した頃、このPKOが何年か続けて発動されていた。「情けない限りだな。こんなことをして決算調整しないと生き残れないような企業は、潰すべきじゃないのか」と憤ったのを思い出す。
だが、最近はこの言葉を目にすることがなくなった。
それだけ日本経済が健全になったということか?
いや、さにあらず。安倍晋三内閣が発足以来邁進してきた「アベノミクス」導入によって、毎月のように日銀が、東京株式市場の主要株を買い支えるのが常態化して、わざわざPKOなどと言わなくなっただけだ。しかも今回は、「経済の血液」である金融を守るという大義名分を持った限定的な支援ではなく、国内でも優良と目されている大手企業の株を買い支えているのだ。
株価は、その企業の現状を評価し将来への期待値を表すものだと、考えられている。なのに、国家が株価維持のため頻繁に買い支える――。
曲がりなりにも自由主義経済を標榜し、世界第3位の経済大国だと胸を張る国がやることとは到底思えない。
太平洋戦争直後は、日本経済復興のために、政府がさまざまな介入を行い産業界を支援、鼓舞してきた。それは、時代として必然だったし、世界が驚愕した「奇跡の戦後復興」を成し遂げたという結果を見れば、意味のある支援だったと言えよう。
岸田政権の経済安保政策の本質は「謎」
その後も折に触れ、日本経済をてこ入れしてきた。たとえば、半導体産業で世界を席巻すべく大胆な指導を行い、見事、半導体業界で世界を制覇している。だが、本来の企業の状態を嵩上げして虚構をつくるような愚行は、かつて私が「情けない」と思ったPKO程度で、それも、バブル崩壊後の緩やかな安定とともに行われなくなっていた。
それが、今や常態化している。もはや、誰も「異常だ」とも「即刻やめよ!」とも言わない。それどころか、「コロナ禍で大変なんだから、継続するのが当然」と考えている人も多いようだ。さらに、ウクライナ情勢がじわじわと国際経済に影響を及ぼし、「まだまだやめられない」となりそうだ。
9年前から続いている政策を、今更あえて話題にしたのは、3月という年度末を迎えて、そういえばそんな時代があったと思い出したからだ。そして、当時の状況を踏まえたうえで現状を見ると、日本企業は輝きを失い、依存体質ばかりが進んでいるのが気になった。
岸田文雄政権は経済安保政策を掲げているが、その本質は謎のままだという指摘を目にする。
経済安保を叫ぶなら、まず、産業界の自覚を強く喚起し、自ら生き残る気力のない企業には、「店じまい」を促すぐらいの気概を見せて欲しい。
日銀は、債券を発行{後の借金国債(金利を上昇出来ない理由)}で、大株主!
年金積立金は、長期にわたって資産を保有し、債券や株式など複数の資産に分散投資し、安定的に運用されています。
実際に運用を行う場合は、どの資産にどの程度配分するという「資産構成割合」を基本に運用しています。資産構成割合は「基本ポートフォリオ」ともいいます。
言い換えれば横領!をして株式購入、儲けは懐入れ?!