2%という物価目標に縛られ、柔軟性が失われてしまった。

物価上昇と円安を無視せず、日銀は追い込まれる前に金融政策の柔軟性を取り戻せ

2022年3/26(土)

久保田博幸金融アナリストさんの記事です!

 

news.yahoo.co.jp

 

「わが国の物価についてみると、本年2月の消費者物価は、生鮮食品を除く総合で前年比プラス0.6%となりました。また試算値ではありますが、携帯電話通信料に加えてエネルギー価格などの一時的な要因を除いた消費者物価は、前年比0%台後半のプラスで推移しています」

 

 これは3月24日の青森県における日銀の片岡審議委員の講演要旨にあったものである。たしか日銀の物価目標は消費者物価指数の除く生鮮食料品であったはずだが、いつからエネルギー価格などの一時的な要因を除いたものとなったのであろうか。

 

 4月以降の消費者物価指数(除く生鮮)は携帯電話通信料の引き下げによる要因が剥落し、それとともにエネルギー価格や食料品価格などの上昇によって、前年比プラス2%以上となる可能性が強まってきている。

 

 これに対して日銀の黒田総裁はコストプッシュ型の物価上昇では、2%の物価安定の目標を安定的に達成できたことにはならず、金融政策を見直す理由はないと述べていた。

 

果たして本当に見直す必要はないといえるのか。

 

 欧米の中央銀行はすでに金融政策の方向を緩和から正常化に切り替えてきている。特にFRBは物価上昇圧力の強まりを受けて、次回は0.5%もしくはそれ以上の利上げの可能性を示唆している。

 

 ロシアによるウクライナ侵攻によって、エネルギー価格や穀物価格がさらに急騰するリスクが出てきている。市場は行ってほしくない方に向かいがちとなる。物価高は一時的だとは言い切れず、しかもその水準がどこまで上昇するのかも見通せない。これをFRBなどは意識し始めているとみられ、日本も当然ながら例外ではない。

 

 しかも、日銀が頑として正常化に向かうことを拒否すればするほど、欧米の中央銀行との方向性の違いが顕著となり、それは長期金利差の拡大を受けて、さらなる円安を招く。

 

 円安は輸入物価の上昇を通じて、物価のさらなる上昇に働きかける、政府は夏の参院選も配慮して、エネルギー価格の上昇や物価の上昇に配慮する姿勢を示しつつある。物価の上昇要因ともなる円安に対し、それが日銀の現在の頑なな姿勢が要因となれば、それに対する批判が強まることも予想される。

 

追い込まれてからの対応では遅すぎる。市場は弱みに付け込む。

 

 日銀の金融政策は本来、柔軟性のあるものであった。ところがアベノミクスによって、片岡審議委員などのリフレ派によるかなり穿った考え方に沿う政策をとってしまった。

 

 このため2%という物価目標に縛られ、柔軟性が失われてしまった。これは現在の日銀が抱える大きな欠点となりつつある。これを早く修正しなければ、状況の急激な変化に対して、適切な対応が取れなくなってしまうことになる。

 

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

 

 

 

 

 

生き残る気力のない企業には“店じまい”促す気概を 「毎月がPKO!」の異常さはいつまで続くのか

2022.3/25 

真山仁さんの記事です

www.sankeibiz.jp

 

日銀は国債発行で、大株主!

 

 

 

 

年金制度の始まりはいつから?歴史について

 

2022.03.19 更新

 

www.mmea.biz

 

年金の始まりは1939年の船員保険から?

1941年に船員じゃない労働者にも年金保険が始まる

 

 

 

厚生年金の抜本的改革 続き

2012.01.09

 

www.taro.org

 

厚生年金の抜本改革の続き。

もともと厚生年金は、積立方式として始められた。しかし、本来、積立方式ならば670兆円の積立金がなければならないところ、現在、110兆円しか積立金がない。

 

1970年代からの年金支給の大盤振る舞いと年金保険料引き上げの先送りが、年金財政を悪化させ、それが修正されないまま現在につながってきた。

 

現在の年金制度で約束された年金の支払金額は670兆円。それに対して残っている積立金は110兆円。この状況で賦課方式の厚生年金を積立方式の年金制度に切り替えようとするならば、差し引き560兆円を政府が一時的に肩代わりする必要がある。

 

 

 

 

 

年金積立金の管理や運用は、「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)という独立行政法人が行っています。

www.mhlw.go.jp

平成12年度まで

 

旧厚生省は、年金積立金を旧大蔵省に預けて金利収入を得ていました。旧大蔵省は、その資金を財投機関に融資し、公共事業などに活用してきました。

 

現在(平成13年度以降)

 

法律改正によって、厚生労働省が、年金積立金をGPIFに直接預けて運用しています。これを「自主運用」といいます。
国が直接年金積立金の管理や運用を行った場合には、行政の肥大化につながったり、専門的知識を持つ人材を集めにくいことや、国による企業支配につながるといった問題があるため、国とは別の組織が行っています。

 

 

 

 

 

もともと厚生年金は、積立方式として始められた。しかし、本来、積立方式ならば670兆円の積立金がなければならないところ、現在、110兆円しか積立金がない。

2012.01.09の国会での質疑ですよ!