三菱モルガンに集団訴訟、クレディＳのＡＴ１債損失で52億円請求
２０２３年０８月３１日（木）Bloombergさんの記事です！
三菱モルガンに集団訴訟、クレディＳのＡＴ１債損失で52億円請求（Bloomberg） - Yahoo!ニュース
（ブルームバーグ）： クレディ・スイス・グループが発行し、今年３月に全額が無価値になった永久劣後債（ＡＴ１債）を巡って同債を販売した三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券を相手取り、個人投資家らが集団訴訟を起こしたことが31日、分かった。
個人投資家など66の原告の代理人を共同で務める山崎・丸の内法律事務所が同日、取引による損失や弁護士費用など総額約52億円の賠償を求めて三菱モルガンを東京地裁に提訴した。
ブルームバーグが入手した訴状によると、クレディＳに公的支援が入るなど「存続の危機イベント」が起きた際にＡＴ１債の価値がゼロになるとした規定について、世界的にも特殊なもので原告ら一般投資家がその発生を判断するのは極めて困難だったと指摘。そもそも一般投資家に販売されるべきではなかったとし、顧客の投資経験や方針を踏まえた金融商品の販売や勧誘を求める「適合性原則」に違反したと主張している。
三菱モルガンがこうした規定について契約時の説明書類や口頭で十分に説明しておらず、同社自身が規定を正しく認識していなかった責任もあるとしている。
訴状によれば、２人の原告はスイス当局から必要があれば流動性を供給するとの表明があった後の３月16日に営業担当者からＡＴ１債の勧誘を受け新たに購入。また、三菱モルガンはこの声明後に多くの原告から同ＡＴ１債を保有し続けて良いかと照会を受けたが、存続の危機イベントが生じる恐れが高まっているなどと説明することはなく、むしろ継続保有を勧めたという。
代理人弁護士を務める山崎大樹氏はブルームバーグに対し、一般投資家に適合しないクレディＳのＡＴ１債を販売した三菱モルガンには、「適合性原則の違反がある」とした上で、同社が提供した情報も説明義務などに違反するものであり「損害賠償義務を負うことは明らかと考えている」とコメントした。
三菱モルガンの広報担当者は、訴状を確認していないのでコメントを差し控えるとしている。
950億円と突出した販売
クレディＳのＡＴ１債は３月、スイス政府が仲介したＵＢＳグループによる買収が引き金となり、残存していた約160億スイス・フラン（約２兆6000億円）相当が無価値になった。海外を中心に投資家がスイス当局を提訴する動きが広がっており、７月には同債の保有で損失を被った個人投資家の男性がマネックスグループ傘下のマネックス証券を提訴した。
日本国内で販売されたクレディＳのＡＴ１債総額1400億円程度のうち、３分の２に当たる約950億円を三菱モルガンが販売していた。相対的にリスクが高いとして個人向けには販売していなかった野村ホールディングスなど他社と比べ、三菱モルガンの積極的な販売姿勢が際立っていた。
親会社である三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループが富裕層向け事業（ウェルスマネジメント）を成長戦略の最優先事項の一つに掲げる中、米モルガン・スタンレーとの合弁である三菱モルガンも同事業を強化してきた。小林真社長は昨年６月のブルームバーグとのインタビューで、富裕層事業で日本のナンバーワンを目指すと語っていた。
国内金融機関による複雑でリスクの高い金融商品の個人投資家への販売を巡っては、デリバティブ（金融派生商品）を組み込んだ「仕組み債」の販売管理体制も問題視された。金融庁の栗田照久長官は８月のインタビューで、ＡＴ１債を販売した証券会社が「きちんと説明できていなかったとしたらそれは問題になると思う」との見方を示していた。
関連記事：
(c)2023 Bloomberg L.P.
Rie Morita, Takashi Nakamichiさんの記事でした！
吾輩は、初めて知った！
【複雑でリスクの高い金融商品の個人投資家への販売を巡っては、デリバティブ（金融派生商品）を組み込んだ「仕組み債」の販売管理体制も問題視された。】
