区分所有のマンションはほとんどが廃虚化するしかなくなる。

欠陥多き「区分所有法」という古くて新しい問題 日本のマンションは100年でほぼ命脈が尽きる

2023年3月14日(火)  夕刊フジさんの記事からです!

 

欠陥多き「区分所有法」という古くて新しい問題 日本のマンションは100年でほぼ命脈が尽きる(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース

 

【マンション業界の秘密】

 

私はマンションの資産価値についてアレコレと言ったり書いたりすることを生業としている。日々そういう仕事をしている中で、むなしくなることが度々ある。

 

それは、私が資産価値を評価しているすべてのマンションは、早ければ50年後、遅くとも100年後にはほぼ存在していないことが確実だからである。

 

ローマには、2000年以上前に建築された集合住宅が、今も「現役」としてその役割を果たしている。パリにはナポレオン時代に建てられたアパートに今も人が住む。

 

ちなみに、日本でマンションについて定めた区分所有法の淵源は、ナポレオン法典の「共有」概念に行き尽くらしい。

 

パリの築200年アパートは、100年後もおそらくアパートとして機能しているだろう。だからナポレオン法典の「共有」概念は、今も100年後も立派に機能しているはずだ。

 

しかし、今の日本のマンションの100年後は、ほとんどないか、廃虚になっているか、建て替えられているかのいずれかである。

 

ローマやパリと違って日本のマンションは100年でほぼ命脈が尽きる。なぜか。

 

理由は、建物の構造にある。ローマやパリの集合住宅は、基本が石造。パリには煉瓦造りもあるだろう。しかし、日本のマンションは鉄筋コンクリート造(RC)である。

 

石や煉瓦はあまり経年変化しない。雨に打たれても風にさらされても、表面が少し変わるくらい。これに対して、鉄筋の周りをコンクリートで固めたRCは、かなり脆弱だ。

 

まず、鉄が酸化する。簡単に言えば、さびるのだ。さびると、容積が膨らむ。そして周りのコンクリートに亀裂を生じさせる。その裂け目から雨がしみ込むと、さらに酸化が加速する。

 

RC構造の軸になっている鉄筋が酸化して、コンクリートが亀裂だらけになると、建物の構造が脆弱になり、やがては人が住めないくらい危険な状態になる。

 

建物を細かくメンテナンスすることで、RC構造の耐用年数を伸ばすことは可能だ。しかし、それにも限界がある。100年耐えられても、200年は無理そうだ。

 

つまり、区分所有のマンションというのは、いずれ必ず「終わり」の時を迎える。その時にどうするのか。

 

今の区分所有法では、区分所有者の5分の4が決議した上で、建物を取り壊すか建て直すか、そのどちらかの選択になる。いずれにせよ多大な費用が掛かる。それは基本的に区分所有者の負担になる。

 

マンションが建て替えられるのは、容積率に余裕があって住戸数を増やせる場合に限られる。それも、増やした住戸が確実に売れる都心やその周辺の立地のみ。郊外の物件が建て替えられることは、まずないと考えるべきだ。そして、多くのマンションは郊外にある。

 

今のままでは、区分所有のマンションはほとんどが廃虚化するしかなくなる。これが社会問題となる日は近い。今から対策を考えるべきだ。

 

榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。さんの記事でした!

同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

 

 

 

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