森林法で排水設備などが求められるが、警戒区域でも太陽光施設の設置は禁じられていない。

傾斜地の太陽光発電230か所、パネル崩落のリスク…土砂災害警戒区域内・住宅近くに設置

2023年05月14日(日) 読売新聞オンラインさんの記事です!

傾斜地の太陽光発電230か所、パネル崩落のリスク…土砂災害警戒区域内・住宅近くに設置(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

 

 山の傾斜地に太陽光発電施設が相次いで設置され、豪雨災害などによるパネル崩落が懸念されている。読売新聞の調査では、全国の太陽光施設のうち、土砂災害警戒区域内に立地し、近くに住宅などが存在するものが230か所以上、確認された。一部の自治体では、リスクの高い場所への設置を禁止する動きがあり、国も規制のあり方を検討している。

(平井宏一郎、奥村健一)

 

国立環境研究所(茨城県)が2021年に公表した調査結果では、出力500キロ・ワット以上の太陽光施設は全国に8725か所ある。

 

 読売新聞は、同研究所が作成した各施設の地図データから、警戒区域内に含まれるものを抽出。同じ警戒区域内で、施設の下方の土砂が流れる方向に住宅などの建物や道路、線路が存在するものを絞り込むと、少なくとも231か所あった。このうち、「特別警戒区域」に立地している施設も34か所確認できた。

 

 231か所を都道府県別で見ると兵庫の22か所が最も多く、岐阜が15か所、長崎も14か所あった。

 

 出力500キロ・ワットの施設の場合、敷設されたパネルの面積は計5000平方メートル程度になり、パネルが押し流されて住宅を破壊したり、道路を塞いだりするリスクがある。設置時に森林伐採や造成工事が行われていれば、災害発生の危険が高まっている可能性もある。

 

 傾斜地への設置が相次いでいるのは、国が12年以降、再生可能エネルギーを推進しているためだ。総発電量に占める太陽光発電の割合は、11年度の0・4%から、20年度には7・9%に増加。設置する事業者にとっては平地より安価で、広い土地が確保しやすいという事情があるという。

 

条例で規制の自治体も

 

 国の法律では、一定規模の伐採を伴うと森林法で排水設備などが求められるが、警戒区域でも太陽光施設の設置は禁じられていない。事業者は場所を問わず、経済産業省電気事業法に基づく届け出をする必要があるが、審査は感電対策やパネル自体の強度などが中心で、その場所の災害リスクが主眼ではない。

 

 同省によると、実際に崩落などの事故は起きている。場所は明らかにしておらず、警戒区域内かどうかは不明だが、小規模な事故も含めると17年度以降の5年間で450件あった。

 

 神戸市は、18年の西日本豪雨でパネルが山陽新幹線の線路近くまで崩落したことを受け、警戒区域などでの設置を禁止する条例を制定。

他の自治体でも警戒区域内での設置を禁止したり、設置前に災害リスクを審査したりする条例を作る動きが出ており、地方自治研究機構によると、今年4月1日時点で、228市町村と7県に上る。

 

政府も、今国会に提出した「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」で、事業者に対して設置前に住民説明会を開催することを義務付けたが、すでに設置されている施設への安全評価など課題は多い。

 

土砂災害警戒区域 土砂災害防止法に基づき、都道府県が現地調査を行い、土石流や崖崩れ、地滑りの恐れがある場所として指定する。2022年末時点で全国で約68万か所ある。より大きな被害が出る恐れがある場所は特別警戒区域に指定される。

 

 【今回の調査方法】 土砂災害警戒区域内に立地する太陽光施設の抽出には、国立環境研究所が作成した全国の太陽光施設のデータと、国土交通省が公表している警戒区域のデータを使用。複数データを地図上で分析できる「地理情報システム(GIS)」で重ね合わせて行った。

 

 そのうえで、3次元地図サービス「グーグルアース」などを参照しながら対象施設を絞り込んだ。土砂が流れる方向の確認方法などは松浦純生・京都大名誉教授の監修を受けた。

 

 

 

 

 

『国の法律では、一定規模の伐採を伴うと森林法で排水設備などが求められるが、警戒区域でも太陽光施設の設置は禁じられていない。』

政腐・政権・行政が無責任!