サミットの後こそ要注意だ。 

岸田首相が目論む“裏切りのシナリオ”… 広島サミット後「非核三原則」見直しに変節の可能性

公開日:2023年05月18日(木)日刊ゲンダイDIGITALさんの記事です!

岸田首相が目論む“裏切りのシナリオ”… 広島サミット後「非核三原則」見直しに変節の可能性|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)

 

被爆地・広島で開催されるG7サミットにおいて、いま一度核兵器のない世界を目指そうという機運を盛り上げる転機にしたい」──。2日後に始まるG7広島サミットに向け、岸田首相は報道各社のインタビューなどで「核兵器のない世界」を訴えている。そんな意気込みとは矛盾する「裏切り」のシナリオが危ぶまれている。

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 外交関係者が最重要視しているのが日米韓首脳会談だ。サミットには韓国の尹錫悦大統領を招待。最終日の21日に、日米韓3カ国の首脳が対面で向き合う。北朝鮮への対応をめぐり、連携強化などを確認する見通しだ。

 

「4月の米韓首脳会談は、米国の核戦力を含む抑止力を韓国に提供する『拡大抑止』を強化するため、米韓の当局者による『核協議グループ(NCG)』の創設や、韓国への米戦略原子力潜水艦の寄港などで一致。米韓の安全保障関係は韓国側が『事実上の核共有』とみなす、新たな局面に入りました。非核三原則を堅持する日本が、この体制にコミットするのかどうか、注目されているのです」(外務省関係者)

 

 米国は「核共有ではない」と明確に否定しているが、米韓の拡大抑止への参加を問われる岸田首相にとって、日米韓首脳会談は「核廃絶」に向けた本気度が試される場になる。ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。

 

「『核兵器のない世界』をサミットでアピールする以上、岸田首相は核共有には触れずに米韓との話し合いを進める他ないでしょう。核共有について国会で議論されたわけでも、国民の合意形成がされたわけでもない。『緊密に連携』という使い勝手のいい言葉で、お茶を濁すのではないか。ただ、その場をしのいだとしても、サミット後も同様の安全保障論議が突きつけられることに変わりありません」

 

日米韓首脳会談がシャンシャン会議で終わるとしても、問題はサミット後だ。米国は日本との拡大抑止の強化にも前のめりな姿勢がうかがえる。

 

 核抑止の専門家でオバマ政権時に国防次官補代理を務めたブラッド・ロバーツ氏は時事通信のインタビュー(16日付)で、日米の拡大抑止の実効性を高める手段として「核共有」に言及。「機は熟していないが、議論する価値はある」と指摘した。

 

安倍超えのコーフン求め

 

 一方、かつて安倍元首相が非核三原則の「持ち込ませない」に反する「核共有」の議論に水を向けた際、岸田首相は「非核三原則は国是として堅持」「核共有について政府としては考えない」と国会答弁している。しかし、「前言撤回」「変節」は岸田首相の常套手段だ。

 

 原発政策をめぐっても、新増設やリプレースは「想定していない」と国会で表明したクセに、あっさり転換。運転期間が「原則40年、最長60年」に達した原発は廃止という方針もひっくり返した。

 

岸田首相は防衛政策の大転換を決めた直後、「安倍さんもやらなかったことをやった」と高揚しきっていたとされる。

 

 悪しき前例を考えれば、岸田首相に「非核三原則を堅持」と言われたところで、またも国民を裏切る可能性は否定できない。ましてや「核共有」も安倍のやれなかったこと。安倍超えのコーフンを求め、今の岸田首相は何をしでかすか分からない。

 

「防衛政策にしても原発政策にしても、岸田首相は国会での議論をないがしろにして決めた。自民党議員も、岸田首相が『非核三原則』の見直し、ひいては『核共有』の議論を始めるなどと言い出しかねない危うさをはらんでいる、と感じています」(鈴木哲夫氏)

 

 サミットの後こそ要注意だ。