「増税によって国に入るカネが増えればそれだけ財務省の権限が強くなるので、財務官僚が増税したくなるのは当然」

いつまで税金は上がり続けるのか…関係者が語る「財務省」が増税を止められない「ほんとうの理由」

2023年09月23日(土)現代ビジネスさんの記事です!

いつまで税金は上がり続けるのか…関係者が語る「財務省」が増税を止められない「ほんとうの理由」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

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 ガソリンを筆頭に、モノの値段はどんどん上がる。なのに税負担は、軽くなるどころか重くなる一方。いったいなぜ? 国が増税にこだわる理由、凄まじい税負担をめぐる現実……全部お伝えします。

岸田政権「大増税マップ」

 ローマ帝国は、膨大な財政赤字を税金で埋めようと市民に過酷な税を課した。その結果、隆盛を極めた文明が衰退、滅亡のきっかけのひとつとなったとされている。過度な税が国を滅ぼすことは歴史が証明している。にもかかわらず、いま、同じ過ちを犯そうとしているのが、岸田政権だ。

 ガソリン価格の上昇が止まらない。円安と原油高によって、ついに全国平均価格は1リットルあたり186・5円と過去最高を更新した。

 これ以上の価格上昇を止めるため政府はようやく腰を上げたが、手の打ち方があまりに愚劣だ。経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。

 「ガソリン税を下げるか、あるいはガソリンにかかる消費税を非課税にすればよいのです。ところが、岸田政権は石油の元売り業者に補助金を支払うことで、価格を抑えようとしている。これは悪手中の悪手です」

 ガソリンにはさまざまな税金が課されている。1リットル185円と仮定すれば、うち74円が税金だ(ガソリン税など約57円、消費税が約17円)。ガソリン税を一時的にでも下げるか、消費税がかからないようにすれば価格はグンと安くなる。ところが岸田政権は補助金でガソリン価格を抑制することを選んだ。

 「そもそも補助金の財源は税金です。税金を下げるのではなく、さらに税金を使うという真逆の方法でこれに対応しようとしている。岸田政権からは『庶民が苦しもうがどうなろうが、死んでも減税はしたくない』という決意さえ感じます」(荻原氏)

 ガソリンにかかる税を下げれば、負担は一気に軽減される。わかっていながら、どうしてできないのか。それは、岸田政権がこれから着手する「さらなる大増税」に水を差したくないからだ。

 

「酷税ロード」が続く

 本誌は政府関係者への取材をもとに、岸田政権が目論む「大増税・負担増予測マップ」を作成した。

 物価高と賃金の停滞で家計は悲鳴をあげているのに、これから数年間はため息が出るような「酷税ロード」が続く。

 

 

岸田政権が目論む「大増税・負担増予測マップ」を作成した

 

 

 悪質なのは、その負担が見えづらいことだ。たとえば政府は少子化対策の財源を確保するため、健康保険などの社会保険料に年間6000円程度を上乗せすることを検討している。消費税や所得税なら痛みを実感しやすいが、いくら徴収されているかの実感が少ない社会保険料に上乗せすれば、気づきにくい。

 「いわゆるステルス増税と呼ばれるもののひとつです。増税を嫌った安倍政権では財務省のアイデアはことごとくはねつけられていましたが、岸田政権になってから巻き返しを図り、財務省は次々とステルス増税策を提案しています」(自民党中堅議員)

 個人や企業が稼いだ国全体の所得に占める税金や社会保障の負担の割合を示す「国民負担率」は48%。アメリカの32%を大きく上回るなかで、岸田政権と財務省はさらにむしりとろうとしているのだ。

 第一生命経済研究所の永濱利廣氏は、拙速な負担増が重なれば、日本経済が長期低迷する恐れを指摘する。

 「いまの日本経済は、家計が潤っていないために個人消費が落ち込んでいる状況です。そんななかで増税・負担増を進めれば、さらに個人消費の落ち込みが激しくなる恐れがあります。

 

 来年は世界経済の半分近くを占める米中の経済が減速を余儀なくされそうです。

内需が乏しく、外需も減速するとなると日本経済はますます苦しくなるでしょう。外需が好調ないまのうちに、効果的な経済政策をするなどして内需を喚起しなければ、日本の景気回復はかなり遅れる可能性があります」

 財政再建のためには増税をしなければならない―金科玉条のごとく何度も繰り出されるこの言葉だが、過度な増税によって経済が悪化してしまえば本末転倒である。

 

分厚い負担で背骨が折れる

 

 大規模な減税はもちろんのこと、税制の見直しをすべき時ではないかという声も上がる。

 「そもそも税金には『応能負担の原則』という考え方があって、多くの収入がある富裕層や大企業が、より多くの税金を負担すべきなのです。日本の税も以前はこの原則に従っていたのですが、年々それが崩れてきて、庶民ばかりが狙われるようになってしまった」

 こう指摘するのは、日本の税に詳しい立正大学法制研究所・特別研究員の浦野広明税理士だ。

 浦野氏の試算によると、'76年以降に段階的に「カネ持ち・大企業優遇」に変わっていった税制を是正すれば、消費増税も、社会保障制度維持のための負担増も必要なくなるという。

 「申告所得税の税制や株などの運用益から得られる源泉所得の税率、法人税の税率などを『応能負担の原則』に沿って改正すれば、最大で数十兆円単位の税収を確保できるのです。

 

04    租税負担の公平―応能負担原則と応益負担原則を中心に―

租税負担の公平 (cside3.jp)

 

気になった部分を抜粋

 

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 応能負担原則とは、「国民の租税負担がそれぞれの国民の租税を負担しうる個人的な経験的な経済的能力、つまり、国民の担税能力に相応しているものでなければならない」という原則である※。もう少し簡単に言えば、納税義務者がその負担能力に応じた納税義務を負うということである。これを課税の側に直せば、納税義務者の資力など担税力に応じた課税を行うような立法を行わなければならないということである。この原則は、納税義務者の収入や収益などが高ければ高いほど、担税力が高いとみなし、資力負担能力が高いほど、高い租税負担を負わせることになる。所得税などについて用いられる超過累進税率は、応能負担原則の具体化である。

 ※新井隆一『租税法の基礎理論』〔第三版〕(2007年、日本評論社)78頁。

 

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消費税による税収がおよそ22兆円(詐欺税で赤字でも強制的に取られる仕組み)ですが、税制を変えれば消費税分の税収も補える。さらなる消費増税を検討するより先に、カネ持ち優遇の税制を改正し、庶民の負担を軽減することを優先すべきです」

 岸田総理が就任直後に掲げた「新しい資本主義」には「賃上げを進め、分厚い中間層を形成する」と書かれていた。実際は増税を進め、分厚い負担で中間層の背骨を折ろうとしていることに、自覚はあるのだろうか。

 

国が滅んでも減税だけはしない

 

国民が物価上昇と重い税負担に苦しんでいるのに、なぜ財務省増税を止められないのか。財政再建には増税が必要」とうそぶくが、それはあくまで建て前だ。

 千葉商科大学教授で経済ジャーナリストの磯山友幸氏は増税によって国に入るカネが増えればそれだけ財務省の権限が強くなるので、財務官僚が増税したくなるのは当然」と、その根本原因を指摘する。

 財務省は各省庁に予算を振り分ける権限を持っているので、予算が欲しい他省庁の官僚および政治家に大きな顔ができるわけです。

 予算が増えれば増えるほどその権限が大きくなるため、増税したいという欲望に常に駆られてしまう。

 反対に権力の源泉を減らすことになる減税には、何のインセンティブも湧かない。減税すべきなんて口にする財務官僚がいれば、その瞬間に財務省内での出世の芽はなくなる、とさえ言われているのです。

 日本の財政の最大の問題は、予算を効率化したり、無駄な支出を削減した人が褒められないこと。どれだけ予算を効率化しても評価につながらず、増税案をひねり出した役人が出世するという仕組みがあるので、みんな歳出を増やすことしか考えなくなる」

 

国破れて税あり

 

ある中堅の財務官僚は、省内のこんな空気を明かす。

 増税の枠組みを作った財務官僚の名前は、省内でも語り継がれるのです。たとえば消費税を8%にした功労者の一人である木下康司さん('13年~'14年の財務次官)の名前は、いまでも『あの人は胆力があった。自らメディアに出演し、矢面に立って増税の必要性を説いたからな』と話題に上がる。その後、木下さんは日本政策投資銀行の副社長(のちに会長)となりました。

 省内での評価が上がれば、退官後も大企業や待遇のいい組織に率先して天下りできる。名声も地位も確保できるのだから、増税について考えることが何よりも重要になっていくのです」

 反対に減税に関しては「消費税の引き下げがよく議論に上がるが、一度でも引き下げたり、あるいは減税策を実施すれば『どうしてその税が下げられて、こちらは下げられないのか』とあらゆる方面から減税を求める声が上がってしまい、歯止めが利かなくなる。『蟻の一穴』を作らないためにも、そうやすやすと減税することはない」という。

 財務省増税への執念は、意外なところにも現れている。それは若年層への教育だ。財務省増税ロジックを早くから植え付けるために、中高生はもちろんのこと、小学生にもその手を伸ばしている。

 

うんこで学ぶ「増税の必要性」

累計発行部数1000万部超え、子供に大人気の学習教材「うんこドリル」にあやかり、財務省が作成した子供のための税の教科書。それが「うんこ税金ドリル」だ。

 オールカラーの冊子のなかで、公共のサービスを維持するには税が必要と説きながら、ちゃっかりと「日本の借金は増える一方だ」と伝え、暗に増税が必要であるということを伝えている。

 こんなことを考える時間とカネがあるなら税金を下げるために汗をかいてほしいものだが、「省内では『子供向けのわかりやすい教材ができた』と好評で、すでに30万部以上が全国の学校に配布された」(前出・中堅官僚)という。見えている世界も価値観も世間とは根本的にズレているのだ。

 

本当のエリート集団であるなら、どこかでそのズレに気づき、誤りを正す方向に舵を切ると思うのだが、エコノミスト田代秀敏氏は「そもそもの財務省の成り立ちを振り返れば、期待できない」と指摘する。

 「明治政府が成立して以降、日本の政府は西南戦争日清戦争日露戦争満州事変、日中戦争、太平洋戦争と戦争を繰り返すたびに新たに増税をしてきました。

 太平洋戦争での敗戦が時間の問題となると、大蔵省は、戦後に財政破綻しないために、新円切替・預金封鎖・財産税(最高税率90%)の3点セットを計画し、戦後に実施しました。

 こうして財政破綻を回避してきた成功体験が『大蔵省の使命は増税によって財政破綻を防ぎ国家を崩壊させないことだ。その使命のためには国民に犠牲を強いても仕方がない』というマインドを確立してしまった。

 それが財務省に引き継がれ、安定的財源の確保が最優先という考えになってしまった。その結果、行き着く先はいつも増税となるのです」

 国が滅びるほどの不景気になっても「日本を救うためには増税が必要」と考えるなら、彼らのことを偽エリートと呼ばざるをえない。

 

騙され続けた日本人

 

 20年前、「日本に年収300万円時代が到来する」と私が指摘すると、官僚や政治家から「森永はあり得ないことを言っている」と笑われました。

 それが、いまや国税統計で一番多い年収階層は300万円超~400万円以下。日本の経済は、落ちるところまで落ちてしまったのです。

 なぜか。財務省が推し進める増税路線に、この国が従い続けたからです。

 日本国民はこの40年間、財務省の「日本を救うには増税しか道はない」という教義にダマされ続けてきました。その問題点を近著『ザイム真理教』に記しましたが、いまこそ、この教義から脱しなければなりません。

 私は66歳になりましたが、残りの人生、財務省のやり方は間違っていると言い続けます。

 

 後編記事『高すぎる相続税所得税、住民税には対策が必要…役所がゼッタイ教えてくれない「税金を減らす方法」』へ続く。

 「週刊現代」2023年9月23日号より

週刊現代講談社)さんの記事でした!

 

 

税金を使って、間違った教育を行う連中!

うんこで学ぶ「増税の必要性」

累計発行部数1000万部超え、子供に大人気の学習教材「うんこドリル」にあやかり、財務省が作成した子供のための税の教科書。それが「うんこ税金ドリル」だ。

 オールカラーの冊子のなかで、公共のサービスを維持するには税が必要と説きながら、ちゃっかりと「日本の借金は増える一方だ」と伝え、暗に増税が必要であるということを伝えている。

 こんなことを考える時間とカネがあるなら税金を下げるために汗をかいてほしいものだが、「省内では『子供向けのわかりやすい教材ができた』と好評で、すでに30万部以上が全国の学校に配布された」(前出・中堅官僚)という。見えている世界も価値観も世間とは根本的にズレているのだ。